第12章 【番外編】 東雲紘太という男
祖父は車に轢かれ、祖母は家の外壁にぶつかった車の破片がとんできて死亡。
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「今日から君は、ここの施設に入るんだよ。」
警察の人に言われ、7歳にして俺は施設に入ることになった。小学校は義務教育、ということで通わなければならないが、ここの施設でも学べるため、行く必要はないらしい。
「やあ、君が東雲紘太君だね?僕はここの先生をしている、増井治之だよ。よろしく。」
最初から、その笑顔は胡散臭いヤツだなと思っていた。コイツは信用しない。と、初対面で決めた。祖父と祖母を失ってから俺は、もう全てがどうでも良くなってしまった。生きている意味、何を生きがいに生きればいいのか、わからなくなっていた。