第12章 【番外編】 東雲紘太という男
驚いて尻餅をついた。コンクリートに湿って…それでもなお流れる赤い液体。本当ならば…俺が流している液体。
「お…おじいちゃんっ!!おじいちゃんっ!!」
7歳。もうわかっている。この液体がなんなのか。そして、これを大量に流すとどうなるのかも…テレビで見たことがあった。声をかけても返事をしない。震えが止まらなくなり、咄嗟に振り向いて祖母に助けを求める。でも……
「!…」
なぜか祖母も頭から血を流して倒れていた。怖くなって、動けなくなった。たちまち、周りからは悲鳴が聞こえ「警察に連絡しろ!」「救急車を!早く!!」など、いろいろな声が飛び交った。
「…俺の……せいだ…。」
そこからはよく覚えていない。2人が病院に運ばれている時、どこにいたのか、誰といたのか……ただ1つ覚えているのは……
「残念ながら…お二人は…。」
という、医者の言葉だった。