第2章 異常な愛
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食べている間、ずっと無言だった。すぐに帰ってくる予定だったのでスマホしか貴重品は持ってきておらず、そのスマホも今この家のどこかにあるのだろうけど行方不明…。
「あの……。」
食べ終え、食器をシンクに持っていった彼に聞いた。
「わ、私の…スマホは…?」
「…なんで?」
「れ…連絡…取りたくて…。」
「…俺がいんのに?」
「!…で…も…。」
「…ほら。」
彼はポケットから私のスマホを出した。
「!…あ、ありがとうございます…。」
「…別に見たって何も変わらねぇと思うけど?」
「え…?」
LINEなど連絡の取れるアプリを開くも、連絡先は全部消えていた。残っているのは「紘太」と登録された名前のみ。
「ど…して…。」
「アンタには俺がいれば充分。」
「で…でも……家族…とか…。」
「アンタに家族はいない。」
「!…」
「両親はアンタが4歳の頃に事故で他界。兄は10歳でいじめに遭い自殺。」
この人は…いったいどこまで私のことを把握しているんだろう……。
「アンタの面倒を見てくれた親戚も先月病死。」
「…」
きっとこの人は…全部私のことを知っているんだ……。