第11章 あなたのいない世界
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ドアが閉まってから、菜月のみっともない泣き声が聞こえた。
「……良かったのか、もっと話さなくて。」
「…テメェが時間だって言ったんだろうが。」
「……お前、わざとだったんだろ。」
この警部とは、知り合いだ。4年前、コンビニで会って、それから目をつけられていた。
「あ?」
「あの女を殺した時、なんで痕跡残した?」
「…」
「…あれさえなけりゃ、知ってんのは俺だけだっただろうが。」
「……世界へーわの為ならいいんじゃねぇの?」
「フッ……あの2人も巻き込みやがって。呪われんぞ?」
「……アイツらは、死ぬ時も一緒にいりゃあいいんじゃねぇの。」
執行室に着く。
「…」(ここが、俺の死ぬ場所。23年間、短かった。菜月に会えて、本当に良かった。)
「……行け。」
背中を押され、首に縄がかかる。この台が落ちたら、俺は死ぬ。
「……菜月、愛してる。」