第11章 あなたのいない世界
「……もう時間だ。」
「…早ぇな。」
椅子から腰をあげるコウちゃん。
「っ…コウちゃん!」
私も急いで腰をあげる。
「……フッ……ブッサイクな顔。」
アクリル板に手をついて笑った。
「っ……。」
「…ちゃんと生きろよ。愛してる。」
それは…今までで見た事のない、コウちゃんのとびきりの笑顔だった。
「っ…やだ…やだっ……コウちゃんっ!!」
背中を向けて部屋から出ていくコウちゃん。ドアが閉まって…さっきまでの声は……もう聞こえなくなった。
「っ…!うぅっ…あぁぁぁっ……!!」
みっともなくその場で泣き崩れた。