第10章 溺愛
その時初めて見た……。コウちゃんが刃物を使わずに人を半殺しにしているところ。20人ほどいた警官の人が倒れていく。
「コウ…ちゃん…?」
もう誰のものなのかわからない血がコウちゃんの衣服や手に付着していた。彼の周りで倒れている警官。
「…」
彼は静かに私に近づいてきて、優しく抱きしめた。
「……コウちゃん。」
私も彼を抱きしめ返した。
「東雲紘太。」
「!…」
「…」
コウちゃんは私を離して、振り向いた。そこには警部さんが立っていた。
「…君は今まで、何人の人を殺した?」
「…」
「詳しい事は、署で聞く。」
警部さんはコウちゃんに近づき、両手に手錠をかけた。
「!…」
イチさんやシュウさんも、同じように手錠をかけられていた。
「…君も、一緒に来てくれるかね?」
「!…」
「菜月は関係ねぇ。連れてく必要ねぇだろ。」
「彼女も君達と関わっていたんだ。関係者として連れていく。」
「…」