第9章 あなたの為ならば…
「意地悪。」
「…なんでそんなに入れたがんの?前は嫌って言ってたくせに。」
「だって……コウちゃんが入れてるから…。」
「なんで?」
「えっ?」
「なんで俺が入れてるから入れたくなんの?」
振り向き、コウちゃんの方を見つめた。コウちゃんは私の瞳から目を逸らさず、じっと見つめていた。
「それは…。」
「…なに?」
「……わかんない…。」
「わかんなくねぇだろ…バカ。」
コウちゃんは煙を吐いたあと、私にキスをした。
*
「…」(結局…入れてくれなかった…。)
あの後、コウちゃんはシュウさんとイチさんの家に向かった。今日もお仕事らしい。
「…暇。」
アルバイトでも始めてみようかな。と思うけれど、それはコウちゃんが絶対に許してくれないだろう。
「…私って…コウちゃんがいないと何もできなくなっちゃったなぁ…。」
携帯代やここの家賃、食費、光熱費…その他もろもろ、コウちゃんが全部払っているのだ。私が自由に使っているお金もコウちゃんが出してくれているし、自分のお金はここにきてからあまり使っていない。