第9章 あなたの為ならば…
結局あの後、眠たくてベッドで眠ってしまった。
「…んっ…。」(なんか…苦しい…。)
そう思い、目を開けるとコウちゃんが私を抱きしめたまま眠っていた。外は明るく、鳥の鳴き声も聞こえた。
「…」(帰ってきてたんだ…。)
コウちゃんの匂いを嗅ぐと、石鹸の良い匂いがした。
「…お風呂入ったんだ…。」
嫌なことを考えてしまう。
・あの女の人と寝た。だからお風呂に入った。
もしくは…
・本当にあの女の人を殺した。だからお風呂に入った。
「…」
不安になり、コウちゃんの腕をどかして背を向けた。
「…ん…。」
寝ぼけているのか、コウちゃんはもう1度私の体の上に腕を置いて後ろから抱きしめた。
「…」(苦しい…。)
私はベッドから起き上がり、リビングに向かった。遮光カーテンなので相変わらず部屋は暗いし、灰皿に煙草の吸殻がいくつも捨ててあった。
「…」
冷蔵庫を開け、お茶を飲んだ。そしてそのままテレビをつけて、ボーっと1日を過ごした。