第9章 あなたの為ならば…
さっきまで賑やかだった場が一気に静まった。
「…大丈夫かな…。」
そういえば、コウちゃんが喧嘩をしているところは見たことがない。
*
「…」
あれから1時間が経った。スマホに連絡もないし、一向に帰ってくる気配がない。
「…」(待ってるしかないのかな…。)
そこからまた2時間が経過した。時刻は夜中の2時になった。
「…コウちゃん…。」
不安になり、外に様子を見に行こうと立ち上がった時だった。
ガチャッ……
音が鳴り、ドアが開いた。
「!…コウ……え…っ…?」
入ってきたのは女性だった。
「!…紘太君!やっぱり私……え…?あ、あなた…この前の…。」
「…!?」
それはコウちゃんが「殺した」と言っていた前に来た女性だった。
「…どう…して…あなたがここに…?」
「っ…あ…の……私…もう紘太君に…2度と俺の前に姿見せんな。って言われたんですけど…どうしても…会いたくて…。」
「…」(嘘…ついてたってこと…?)
確かに彼女が殺されていなくて安心した。でも、コウちゃんは「殺した。」と言っていた。嘘をつかれていたことに少し絶望した。