第1章 迷い人
翌朝、食事は外でしようと2人に告げ玄関でスマホを見ながら待っていると、外へ行く準備を終わらせた2人が並び立つ。
「……」
行儀良く並ぶ姿に思わず笑うとジルが首を傾ける。
「どこかおかしいところあったかしら?」
「ううん。そんなことないよ」
口に力を入れ耐えていると、何故かジルの腰元にある膨らみに気づく。
「………ねえジル?その腰元の膨らみは何?」
ジルは不思議そうに黒い鉄の塊を取り出す。
「………拳銃だけど」
「けっけっ拳銃ー!!だめだめ絶対だめ!」
「???」
「日本では拳銃持ってたら銃刀法違反で捕まっちゃうよ。拳銃は免許がないと所持しちゃだめだから」
「そうなの?じゃあ仕方がないわね」
ジルが拳銃を下駄箱の上におくのを見て素っ頓狂な声を上げた。
「え、えっそこ置いちゃうの?」
「ジルタオルで隠しておけ」
ウェスカーの言葉に目を丸くする。
「……タオル?」
「わかった」
「わかっちゃったよ!」
ジルがタオルを持ってきて自分の拳銃に巻こうとすると、ジルの拳銃の上にウェスカーの拳銃が乗せられた。
「ちょっとウェスカー自分で持ってきなさいよ」
「細かいことを気にするな」
「ほんとそういうとこよ」
ウチはこの2人の言葉に苦笑う。
この2人ほんとは仲良いのではないだろうか。