第1章 迷い人
玄関先の拳銃事件がひと段落して3人並んで道を歩く。
両側を歩く2人は物珍しそうに辺りを見渡していた。
「すごい、道にゴミが落ちてない。それに車が煩くない!」
ジルの驚きようが不思議で説明を求めウェスカーを見ると、サングラスごしに目が合った気がした。
「アメリカの道はたた汚い所があるからな」
「そうなんだ」
「ああ」
「……」
名古屋駅にあるショッピングモールで2人の服を探し回る。ウェスカーはさっさと服を見つけたがジルは、ああでもないこうでもないと服を探し回っている。
「おいジル、まだ決まらないのか」
無言でいたウゥスカーもさすがに疲れているのか声のトーンが下がる。
どうやら少し機嫌が悪いようだ。
ウチは咄嗟にジルに声をかけた。
「ジルウチ少し疲れちゃったから、ウェスカーとそこにあるベンチで休んでるから、買いたい服が決まったら教えて」
「ええわかったわ」
ジルの返答にほっと息を吐いてウゥスカーにベンチをすすめると、彼は一直線に向かいどかりとベンチに座った。そんなウェスカーを見ながら隙間を開けて自分も座る。
「疲れましたよね?何か飲みます?ウチ買ってきますよ」
「必要ない」
バッサリ断られ心にダメージをくらう。
…………きっ気まずい
かなりの人見知りである自分にとってこの無口な人といるのは死ぬほど気まずい。何か話題を作るためにソワソワ隣に座るウェスカーを見る。
「ウッウェスカー!」
少しりきんだせいで少し声が大きくなる。
「どうした」
平坦な声にチラッと目を向ける。
「ウェスカーはアメリカ人なの?」
かなり直球な問いにもう少し良い話し方はないのかと内心頭を抱えたが、何も気にしていないウェスカーが淡々と答える。
「ああ」
「じゃあジルも?」
「ああ」
「ラクウンはどこにあるんですか?」
そんな質問にありえないと顔をこわばらせる。
「知らないのか」
「はい」
「地図を出せ、スマホにないのか」
「はい、ちょっと待ってくださいね」
ウェスカーに言われ急いでスマホの画面を開く。
「アメリカはこれですけど……」
目の前に画面を見せるとウェスカーはぎこちなさげに画面をスライドさせるが、彼の顔はだんだん青くなっていく。
「だっ大丈夫ですか?」