第2章 指名
「あれは…」
言えない。
最終選別前の師匠とのあのえげつない修行のたまものだとか。
文字通り血反吐吐いたとか、言えない。
「私の事は良いんです!」
「よくないだろう?お前を継子にするんだからな」
錆兎が当然だろ?と首を傾げる。
「…とは言いますが、私まだ丙ですし。もっと強い方々がいるじゃないですか!」
甲とか!
「強けりゃ良いってもんじゃないんだぞ?」
「その通りだ…」
何だろう、今の間は……
こういう所は意見合うんだ…
まるっきり正反対というわけでも無さそう…
「だいたい最近の甲の隊員は基礎がなってない!」
錆兎が一人捲し立てながら話し始める。