第2章 指名
少しの峻巡の後、途中まで伸ばしかけていた手を引っ込める。
「私はまだお二人のことを選べません…まだ出会ったばかりですし…」
継子になれる技量もまだ持ち合わせていない。
まだ甲にもなれていないのだ。
「「覚えてないのか…?」」
義勇と錆兎が声を揃えた。
「え?」
華恋は目を白黒させた。
「お前を見つけたのは二月前だ…」
「お前、無限列車に乗っていたんだろ?」
錆兎の発した『無限列車』に反応する。
「あぁ、あまりお役には立てませんでしたがね…」
「だが、実際お前が一両分を任されていたのは事実だろう?」
「あれは新人たちだけに任せておけなかっただけで…」
皆必死だったから。
「煉獄も高く評価していた…」
「煉獄様……いえ、炎柱様はその後は?」
「すっかり全快しているぞ。右眼以外は」
「右眼……」
やはり、回復しなかったのだろう……
「そうそう、煉獄の処置。お前がやったんだろう?隠部隊も評価していたぞ」
「どこで身に付けたんだ…?」