第4章 日常
私は心のどこかで安堵した。
いや、実際は冨岡さんが誰かを想っていてもおかしくないと思っていた。
『蔦子さん』が隊士の誰かだと思っていたくらいだ。
やっぱりどこかで意識していて。
二人から継子にと指名されて、多少なりとも舞い上がっていたのが本音だ。
初対面で継子に指名され、驚きつつも評価されたことが嬉しくて。
「華恋……」
「はい」
「華恋が嫌ならこの生活を止めても構わない」
「どういうことですか?」
「俺たちの都合でお前を振り回した。だから、しっかりお前の気持ちを聞いておきたい……」
「冨岡さん。確かに最初は戸惑いましたが、私……お二人と生活して、とても楽しくて……でもやっぱりちゃんと強くなりたいです。お二人が私を指名して良かったと思えるように……」
ふっと、冨岡の口角が上がる。
笑った?
あの冨岡さんが?
「華恋、強くなろう。一緒に」
冨岡の手を取り、華恋が笑う。
「はい」