第4章 日常
「冨岡さん、華恋です」
「あぁ、入って構わない」
スっ。
「……………」
冨岡は華恋を見て思わず息を飲んだ。
髪型はそのままだが、打ち掛けを羽織って入室してきた華恋が花嫁衣装を纏っているように見えたのだ。
まるであの時の姉のように。
「冨岡さん?」
動きを止めた冨岡を訝しんで華恋が声をかける。
「蔦子、姉さん……」
「え?」
「いや、すまない……亡くなった姉と華恋の姿が重なって見えたんだ……」
「お姉さん、蔦子さんっていうんですか?」
「あぁ、綺麗で優しかった」
そうなんだ。
蔦子さんは冨岡さんのお姉さん。
昨夜の『蔦子さん』は在りし日の彼女の話をしていたということで。