第3章 同居
湯気で一瞬姿が見えなくなる。
「う……あ、ありがとうございます。冨岡さ、ん…?」
「悪かったな、義勇じゃなくて…」
「し、獅子嶋さん!?」
思わぬ人物に驚き、身を捩ったために体を覆っていたタオルがはだけて、二人の前で華恋の胸元が露になる。
「ふひゃっ!降ろして下さい!」
必死で胸を隠す華恋を錆兎が降ろそうとすると…
「おい、暴れるなって!」
むにゅ。
錆兎の手が華恋の横乳に触れる。
「ちょっと、どこ触ってるんですかっ!」
「おい…」
「華恋。落ち着け…」
冨岡が着ていた羽織を華恋に被せて、ふわりと抱き上げる。
「湯冷めする前に部屋に案内する…錆兎は着替えろ」
「はい。あの冨岡さん、私自分で歩き…」
「タオルが落ちても良いのか?」
「あ、すいません。お願いしまーす」
「承知した…」
錆兎を一人その場に残し、冨岡は華恋を空き部屋に連れて行った。