第3章 同居
「なら…」
そんなに気にしなくても…
「あいつと俺はずっと同じなんだ」
「同じ?」
「俺は幼い頃に両親を亡くし、姉と二人暮らしだった。姉の祝言が決まり、俺は心から祝福した。だが、祝言の前日俺がいた村は鬼に襲われ、俺は危険を察知した姉に押し入れに押し込まれたが姉は……」
お姉さんが喰われたんだ…
冨岡さんの様子を見ていれば分かる。
「あの…冨岡さんのお姉さんは分かりましたけど、獅子嶋さんは…?」
「錆兎は父親と二人暮らしだったらしい。俺の村より前に襲われたということだった。錆兎は父の形見だと言って羽織を持っていた。俺も姉の形見をと探したが羽織の大半は喰い散らかされた姉の血で斑に染まっていて……どうにか無事だった普段身に付けていた着物と祝言に着るはずだった花嫁衣装の白い打ち掛けを持ち出そうとしたら…錆兎に両方切られたんだ」
「えっ!?それ、酷くないです!?」
何てことするの、獅子嶋さん!
『それ、両方女物だろう?んで、俺が男物の羽織を持ってる。俺たち二人揃って孤児(みなしご)だ。だから…二人で半分ずつ背負わないか?』
「そう、言われた…」
あぁ、そうか。
二人はきっと、お互いがずっと近い存在なんだ……