第3章 同居
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「はい、召し上がれ!」
出来立ての肉じゃがを二人分小鉢に取り分けて渡すと、冨岡はそのまま口をつけ、錆兎は案の定、味見もないまま唐辛子の粉末をどっさりとかけた。
「あの、獅子嶋さん?」
「何だ?」
「せめて味見はして下さいよ…」
泣きたい。
せっかく作ったのに……
「だってかけた方が…」
「もう、いいです」
錆兎の横を見ると、モグモグと口を動かす冨岡を見て。
「冨岡さんはどうでしょう?」
口の中の物を飲み込んでから、冨岡が一言。
「旨い」
「本当ですか!?」
「あぁ」
やった、正常な方に褒められた!
「何だ?その反応…」
見るからに上機嫌になった華恋を見て錆兎が不機嫌顔をする。
「だって獅子嶋さん、辛くなきゃ食べてくれないんですもん!それに、そんな食生活続けてたら、舌がおかしくなっちゃいますよ?」
「もうなってる…」
「義勇!」
掛け合い漫才のような二人のやり取りを見て、華恋もこっそり笑うのだった。