第3章 同居
華恋が長居していたせいか、八百屋の女将さんが出て来ていんげん豆をおまけしてくれた。
「ありがとうございます。あ、どこか良いお肉屋さんはありますか?」
「熊肉でも売るのかい?」
「いいえ。熊肉じゃ固すぎて、肉じゃがには、むきませんから」
「そりゃ、そうだねぇ。あ、あそこ。店構えは古いけど、店主がいい人だから行ってみな?」
「はい!」
豚肉を買ったところで、手持ち無沙汰の義勇が迎えにきた。
「華恋」
「あ、冨岡さん」
「買い物だけでいつまでかかっているんだ?」
「え?」
「もう半刻経ったぞ」
「そんなに長居した気はなかったんですが…」
素直に謝ると義勇は華恋の手を引いて歩き始めた。
「まったく、目を離せないな…」
呟きは華恋の耳には届かなかったが……
少し、笑った?
横を歩く義勇を見て…
睫毛、長いなぁ…
「……///」
「何だ?」
「え?」
知らぬ内に注視していたらしい。
「な、何でもありません!」
やだ、これじゃまるで私が意識してるみたい…///
無い無い。
ぶんぶんと首を振る。