第2章 呪われた瞳
『うん!』
褒めてあげると嬉しそうに微笑むくるみ。
年が明けたら離れ離れになる…。今の幸せが無くなるのがとても嫌だと思ってしまう私は未熟者だ。
「くるみ、大好きよ」
不意に出た言葉。くるみは目を真ん丸にして、嬉しそうに笑顔になり、ぎゅっと抱きついてきた。
『私も!ママが大好き!』
やっぱり、離れたくないなぁ…。
1日がとても早く進み、日が沈む。夕日の明かりが机に反射してキラキラ輝いている。
ふと、鏡に目を向けると
「あれ…?私の目まで月光紅の色みたい…」
鏡に映る自分の姿が夕焼けにあたり、紅く染まってみえた。
『ママぁー!今日の夕飯は私も一緒に作る!!』
くるみの呼ぶ声が聞こえる。返事をしてまた鏡を見る頃には、日が沈みきり 目の色はいつもと同じだった。
キッチンに行き、エプロンを着て、やる気満々のくるみを見つけた。
「今日はハンバーグだから、お手伝い頑張ろーね!」
そう言えば くるみは『頑張る!』と笑っていた。
揺れる月眼の瞳…。私はくるみが呪われていたとしても、くるみの瞳も、笑うその顔も全部 大好きだよ。