第1章 秘密
『ママ?どうしたの?シチューいらないの?』
くるみが心配そうに覗き込む。
私はくるみの頭を撫でて「食べるよ〜」と言った。
くるみの綺麗な月眼の瞳が揺れる。
言わなくちゃいけない。五条悟から教えられた瞳の秘密を。
今、言うんだ…。
「くるみ、大事な話があるの。今から話すから、ちゃんと聞いててくれる?」
瞬時にくるみの顔が不安で歪んだ。
だけどすぐに戻り不思議そうに首をかしげた。
「年が明けたら、くるみはママ達とバイバイしなきゃいけないの……」
言葉にすると辛くなり涙が溜まる。子供の前で泣く訳にはいかない。必死にこらえる。
「くるみの目がママ達と違うのは、くるみもずっと気にしてたよね。それでママがその目の事を調べていたの」
1度 言葉を区切り くるみの顔を見る。
既に目を真っ赤にさせて泣いていた。胸がぎゅっと痛くなる。それでも、くるみのために言わなくちゃいけない。
「くるみの目はね、月光紅の眼って言うの」
『げっ、こぅ…べに?』
しゃくりを上げて私の言った事を繰り返すくるみ。
「そう。月光紅の眼。古く昔から呪いの王さえも魅了した月光の夜に紅くそまる、呪いの眼」