第1章 秘密
『のろい……』
目を大きく開き驚いているくるみ。「無理もないよね、ごめんね」と私は言うしかなかった。だがくるみは、顔を上げ私に向かって
『私が呪われているから、ママ達と離れなきゃいけないの?』
と言った。私は心臓をぎゅっと掴まれた感覚だった。くるみはまだ小さな子供だ、だけど私よりずっと大人だった。
「違うよ、くるみ。呪われた瞳は強い力を持っていてくるみが危険だから、ママ達じゃ守れないから……」
耐え切れなかった涙が1つ、2つ テーブルに落ちた。自分がみっともなくて、くるみの顔を見る事ができず下を見る。
ぽん、っとくるみの小さな手が私の頭を撫でるーー…。
『ママ大丈夫だよ。いい子いい子、泣かないで?』
「ごめんね、くるみ、辛いのは貴方なのに、私っ、本当にみっともないよね、、」
頭を撫でる小さな手が、とてもあたたかくて、優しかった。
『私はママ達のために離れるんだよね。だから大丈夫だよ。私が自分で自分の事守れるようになるから、ママは泣かないで?』
顔を上げるとまた、くるみの綺麗な月眼の瞳と目があった。さっきまで涙で濡れていた瞳はもう濡れていなかった。
『ママ、私のわがまま聞いてくれる?』
「なーに…?」
月眼の瞳がゆらゆらと揺れる。
『年が明けるまで、ずーっと一緒にいてね』