第1章 秘密
今から1週間前
「貴方が五条悟…?」
目を布で覆い隠している彼にくるみの母親は警戒した。
ぎゅっと拳を握り、名前を確認するのがやっとだった。
「そうそう。僕がかの有名な五条悟でーす!」
五条悟は独特な雰囲気を持つ男だった。
布で顔を隠しているが、多分相当な美形だろう…
「で、要件は何?僕も暇じゃないからさぁ。手短に頼むね」
急に空気がぴりっとなり、気のせいか肌が痛い。
「…娘の、くるみの瞳、月眼の瞳について……」
辛うじて声を出し、五条悟に月眼の瞳について話した。
顔を上げ彼の顔を見上げると彼は「まさかな…」と言った。
「やっぱり何か知ってるのね」
と聞くと五条悟は困ったようにただ一言だけ『呪いだよ』と言った。
(呪い……?)
「くるみが呪われているの…?」
意味が解らずに聞くと、五条悟は携帯を取り出し誰かに電話をし始めた。
「うん、そうそう。もう1人分だけ手続きしてて」
ぴっ、と電話を切り五条悟は空を睨む。
「呪いは人間の負の感情からできる。君の娘、くるみちゃんの瞳は ーー……」
ひゅーーと冷たい風が吹く。
私は驚きで声が出なかった。