第12章 予定外の連続
ジンとマティーニが一緒にいるところを見たことがない……そもそもまだアジトの場所を知らないから当たり前といえばそうなのだが。
バスルームのドアが開きマティーニが出てくる。バスローブはウエスト部分がキュッと結ばれスタイルの良さが際立つ。肌はほんのり赤く、髪も濡れたままなのでどこか色っぽい。
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『自分の扱い方くらい自分で決めるわ』
少し怒ったような口調で言う彼女に少し驚いた。過去に何かあったのだろうか……。そのままベッドに寝転んだ彼女からは数分で寝息が聞こえてきた。
「お前、もう少し抵抗とかしろよ」
「あの姿で言い寄られて断る理由なんてないでしょう」
「だからって……」
ため息をつくスコッチ。
「入ってきたらどうだ」
ライにバスルームを顎で示されバーボンは立ち上がる。
「彼女に変なことしないてくださいね」
「君に言われたくないがな」
バーボンは舌打ちをしてライを睨む。そこに普段の笑顔はない。
バーボンがシャワーを終え、再び3人は沈黙する。ジンとマティーニの関係は本人に聞くのが1番早いのだろうが……ベルモットがあのような言い方をしたことも何か引っかかる。
『んっ……』
マティーニが寝返りをうつ。バスローブがはだけて色白い脚が覗く。そこでハッとした。
「あいつ今あれだけしか着てないんじゃ……」
「そのようですね。洗濯物の中に下着もありましたから……もちろんジロジロ見るなんてことはしてませんけど」
2人の視線に淡々と言葉を返すバーボン。
「そのまま外出ようとしてたのか……」
あんな格好で外に出れば最悪のことだって有り得るのに。考えてないのか、それでもいいと思っているのか……どうしてそこまで自分に価値を見出さないのか……。
考えを巡らせるが、流石に眠くなってきた。時間もだいぶ遅い。
「僕はこのままここで寝ます」
「俺もここで構わない」
「んじゃベッド借りるわ……」
椅子にかけたままのバーボンとライ。スコッチはベッドに入った。
偶然だが、ジンとマティーニの関係に何かあることがわかったのは運がよかった。少しずつ探りを入れる必要がありそうだ。
焦らなくていい。ゆっくり、でも確実に。各々の目的の達成のためには些細なミスも許されない。一つ間違えればそこに待つのは死だけだから。