第109章 カイピリーニャは甘すぎる #3 ※
早々に割り込んできた舌が口内を犯していく。荒々しいのに私の弱い場所を的確に刺激してくるから簡単に力が抜けてしまう。呼吸はまともにできないし、僅かに開いた口の端から唾液が零れる。頭もぼーっとしてきた。さすがにまずいと思ってジンの胸元を叩くけど、キスは深くなる一方だ。
あと少しで腰が抜ける、というところでやっと唇が離れた。間に繋がる銀の糸がつーっと伸びてぷちんと切れた。壁に体重を掛けたまま荒くなった呼吸をどうにか整える。
ジンが帽子とコートを脱いだ。その様子を眺めていると、大きく舌打ちをされる。
「さっさと脱げ」
『う、うん……』
ゆっくり自分の服に手をかけて脱いでいく。じっと見られているのが恥ずかしいから視線を逸らしながら。
下着も脱ぐべきか、と手を止めた。恐る恐るジンを見ると当たり前だと言わんばかりに舌打ちが返ってきた。顔に熱が集まるのを感じながらも、下着に手をかけた。
全て脱ぎ去り、それでも恥ずかしくて腕で身体を隠してみる。が、すぐにジンに腕を掴まれ開かされた。まじまじと見られて身体に力が入っていくのがわかる。
ジンの手が首筋をそっと撫でていき……途中で止まった。
『なに……?』
「てめぇは気づいてねぇのか?」
指でトントンと一点を叩かれる。腕が離されたから近くにあった鏡を覗いてみる。
『……嘘』
服で隠れて、しかも正面からはなかなか見えない位置に色濃く残されたキスマークがあった。
『ピンガ……っ』
小さく呟いた。怒りなのかよくわからない感情がふつふつと湧いてくる。
「……さっき一緒にいたヤツか」
『えっと……』
どう答えるべきなのかと必死で頭を回転させる。でも、私が答えるより早くベッドに投げるようにして押し倒された。
「理由がなんだろうとやる事は変わらねぇ」
そう言ったジンに頭を傾けて押さえつけられる。そして、キスマークがついている辺りに思いっきり噛み付かれた。
『いっ?!』
皮膚が裂ける感覚があった。ヒリヒリとした痛みにぎゅっと目を瞑る。ジンの舌先が今できた噛み跡を抉るように舐めていくと更に痛みが強くなった。たぶん、いや絶対血が出てる。
『っ?!』
急に身体のラインを撫であげられてびくりと反応してしまった。外側から内側へ、くすぐったさを覚えるような触れ方。