第11章 理由なんてないわ
例の4人はコードネームが与えられることになった。
諸星、安室、緑川は元々働きが良く、銃の扱いやハッキング等の能力が認められた。水無は組織に潜り込んでいたNOCを始末したらしく、それにより幹部入りが決まった。そのNOCの情報は全く出ず、名前が"本堂"であることしかわからなかった。
コードネームはメールで伝えられた。上から順にライ、バーボン、スコッチ、キール。そして、志保にもシェリーというコードネームが与えられた。
そして今、私はバーボンと任務に来ている。
『はあ……なんで貴方なのよ』
「そう言われても……」
仕事ができるというのは十分わかっている。情報収集能力も高い。でも、
『いい加減、その敬語取れない?』
「これは癖みたいなものですから」
『あと、その貼り付けた笑顔も辞めて』
「これが素なので」
こういうところが気に入らない。何を言っても飄々と躱される感じ。
「それで、今回の任務ですが……」
あるパーティに来るであろう組織の弱みを握ること。要は現場を抑えろとのこと。人身売買に関わっているらしく、人が多く集まる場所で動いているらしい。
「僕が現場を抑えますので、貴女は会場内を見張ってください」
『……わかってるわ』
少し離れた所で車を降り、会場まで歩く。
「しかし、よく似合ってますね」
『……どうも』
ベルモットが用意してくれたパーティドレス。素敵なんだけど、露出が多いというか……かなりセクシーなデザイン。変装はしてないけど、メイクもヘアセットも全部してもらったから問題ないはず。
「本心ですよ」
バーボンはそう言って手を差し出してくる。任務を始めるまでは普通の招待客を演じなければ……少しの辛抱だ。その手に自分の手を重ね、会場へ入った。
招待状は偽装。バレることはないだろうけど。
「流石、鈴木財閥ですね」
『そうね』
会場内ではたくさんの人が談笑したり、料理をつまんだり……。
『あ、あれ、藤峰有希子?』
「本当ですね、ならその横は工藤優作でしょうか」
超有名な美人女優と作家。彼らが話しているのは……
「あれが鈴木会長ですね」
ここに来る前に見た写真の人物。あそこだけオーラがすごい……。
その近くにいるのが彼らの子供だろうか。志保……シェリーと同じくらいの女の子が2人と男の子が1人。