第103章 あとがき
ソファに座ってジンと光希が遊ぶ様子を見守る。最初はそんなジンの姿に馴染みがなかったから面白いと思ってしまったり。それでも今は大切な日常の一コマだ。
新しくジンが渡してくれた指輪をそっと撫でる。始めてもらったものもとても気に入っているんだけどそれは今はジュエリーボックスの中。
ちょっと照れながらこの指輪を薬指に通してくれたジン。高級レストランとかじゃなくて普通の生活の中で渡されたけど、とても幸せだった。それから最近、もう1つ大きな幸せが……。
「ママ、きいて」
『ん?なあに?』
光希に声をかけられてそちらを見る。おもちゃを放り出して私の方へ歩いてきて手を伸ばす。そっと抱き上げて膝の上に乗せてあげる。
「あのね、きょうね、おんなのこにあったの」
『女の子?』
「うん。かわいいおんなのこ」
昨日今日と外出はしてないし……もしかしたら素敵な夢でも見たのだろうか。きっとそこでその女の子にも会ったんだろう。時々聞く光希の夢の話は結構ファンタジーなものも多くて面白いのだ。
『どんな子だったの?よかったら教えて欲しいな』
「ん!あのね、ぽかぽかしてるところでね、おはながたくさんあったの」
『うん』
「でね、そのこにあった。すごくかわいいこ」
『可愛かったんだね』
「うん!パパみたいなキラキラしたかみでね、めはママみたいにおっきかった!」
『……えっ』
「もうすこししたらまたあえるよっていってた!だからずっとそのこのことまってるの!」
ニコニコ笑う光希の頭を撫でながらジンと目を合わせる。本当に、子供って不思議。
『ねぇ、光希。大事なお話してもいい?』
「ん!」
『あのね……たぶん、光希が会った女の子は……今、ママのお腹の中にいるの』
「おなかのなか……?!」
『そう。光希の妹になる子なんだ。その子が産まれてきたら光希はお兄ちゃんになるの。その子に会えたら仲良くしてくれる?』
目をキラキラさせて光希は何度も頷いた。
「ん!ぼく、なかよくする!」
『うん。ありがとう』
そう言って光希を抱きしめた。予定ではお腹の子が産まれてくるのは春。
きっとその日はぽかぽかしていて花がたくさん咲いている……とても素敵な日になるだろう。