第102章 きっとこれからも※
「光希寝たぞ」
『ん、ありがとう』
洗い物の手を一度止めて振り返る。
『何か飲む?』
「いや、いい」
『そっか』
ジンと再開してもう1年経つ。数ヶ月前にセキュリティの高いマンションへ引っ越した。
光希も大きくなった。話せる言葉も増えたし、笑いながら遊ぶ姿も可愛らしい。叱る時は少し苦しい気持ちになるけど、この子の将来のためにも伝えておかなければ。
ジンもだいぶ変わった。再開した翌日からタバコをやめたのには驚いた。口寂しくなるとその度キスしてきたのはちょっと恥ずかしかったけど。
なんて事を思い出していると、腰にジンの手が回されてそっと引き寄せられた。ジンの使っているボディソープの香りがする。
『どうしたの?』
「……」
首筋に吐息が当たってくすぐったい。身を捩ってみるけど、更に力が強くなるだけだ。
『ねぇ……』
「抱きたい」
『へっ?』
「行くぞ」
『ちょっ……わっ……』
横抱きにされて、行く先は寝室。優しくベッドにおろされてすぐにジンが覆い被さってくる。
『待って、まだいろいろと……』
「あ?」
『3日……じゃなくて、あと1週間待って……』
「お前、先週もそう言ったろ」
ジンの顔が近づいてくる。
「1週間……いや、3年待った。腹くくれ」
『待って待って!』
服を捲ろうとするジンの手を両手で掴む。ジンの眉間にシワが寄って、それでも手を離すのは少し怖くて。
「そんなに嫌か」
『嫌っていうか、その……』
「……納得できる理由だったら考えてやる」
『その……前より太った、し……』
「はぁ?」
『肌の手入れとかちょっと手抜いてるし……だから、前の身体と比べられてがっかりされたら嫌だなぁとか思ったり……』
どうしたって自分に割ける時間は減っている。抱かれるのが嫌なわけではないけど、プライドというか……もう少し綺麗な自分を見て欲しい。
「……」
『ごめん、だからもう少し待っ……んっ』
言い切る前にキスで口を塞がれた。しかも舌まで入ってきた。このままじゃ流されてしまう……その前に息苦しくなってきた。ジンの胸を叩くとゆっくり唇が離れていく。
「……どんな身体でも関係ねぇ。俺はお前を抱きたい」
『っ……』
「自分をどう見てるのか知らねぇが……お前は綺麗だぞ」