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【名探偵コナン】黒の天使

第92章 熱い吐息※


切れた電話に向けてため息をついた。電話の最中にジンは部屋を出ていったらしい。まだだるさの抜けない体を転がして仰向けになってぼーっと天井を眺めた。

今まで通りにしているつもりだけど、やはりわかる人にはわかってしまうのだろう。以前からベルモットは特に人間関係の変化に良く気づく。ほんの些細な事でさえも。

バーボンがヘマをするとは思えない。原因はたぶん私だ。でも、考えるほど今までどう接していたかわからなくなってくる。

そっと自分の唇に触れた。昨日のキスはどういうつもりだったんだろう。わからないからこそ困っている。何か狙いかあってされたならいい。その真意がわからなくても何かしらの目的があるんだと思えばいいのだから。

でも、違った気がする。ただしたかったからキスした、というような様子だった。敵であるし、私が一言組織に告げれば殺される立場にあるのに……よくわからない部分の多い男である事はわかっているがそれが更に加速していく。

バーボンとキールを使ってやる事は決まっているものの、それを頼める段階にはない。時間を見つけて進めようとしているが人目につくような時にはできないし、探しているものがあるかどうかも確信を持てない。

再度ため息をつきながらSNSを開いた。画面をスクロールしていくと見知った名前があって指を止めた。

『工藤新一……って』

何があったのかと調べていけば清水寺で何かの事件があったらしい。そして、それを解決したのが工藤新一だったと。死んだと思われていた高校生探偵が生きていたという事でかなり話題になってしまっている。

『冗談じゃないわ……』

これだけ話題になっていれば、波土の曲のタイトルの時みたいに組織の人間の目に触れてしまっているはずだ。まだ噂の段階ではあるが、もしジンが工藤新一の死に疑問を抱き、そこからあの薬の事に繋がってしまったら。幼児化するという事に気づかれてしまえば、工藤新一の次に矛先が向くのは志保だ。

『何かあったら許さないわよ……』

そう小さく呟いてスマホの電源を落とした。

数日後。SNSに発信元の女性からあの時みた工藤新一は自分の願望が作り出した幻覚だった、という呟きが上がった。それによつて世間は一気に沈静化していったのだが。

私にはラムからの指示が届いた。工藤新一の情報を要求する、と。
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