第92章 熱い吐息※
『ん……?ひっ、ああっ……!』
いつの間にか飛んでいた意識を無理矢理引き戻される。同時に快感が襲ってきた。
覚えてないけど、意識を飛ばしたのは1回ではない。でも、今が何回目なのかはわからない。それ以前に状況を理解できるほどの余裕がない。私、ずっとイってるんじゃないかな。ぼんやりした視界を眺め、次々に与えられる快感を受け止める。でも、さすがに苦しい。四肢に力は入ってないし、声もかすれてきてるし。
たぶん、ジンも体力がそろそろ切れると思う。なんとなく動きが単調になってきた気がするし。
『っ、ぁ……』
声になりきらないものが漏れて、ナカにじんわりと欲が広がるのを感じた。ジンのモノが抜かれて……ドサッとジンが私の横に倒れたらしい音が聞こえた。
終わった……のかな。やっと気が抜けて、目を閉じる。そのままゆっくり意識は落ちていった。
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物音に目が覚めた。数回瞬きをして体を起こそうとしたのだが。
『うっ……』
今までとは比にならないくらい体がだるい。体をできる範囲でよじってみるが、腰の痛みが桁違いだ。
「起きたか」
ジンの声がした方に視線を向ける。普通に立っているし腹が立つくらいツヤツヤしてるけど、それでもなんとなく疲れの色も見えた。
『……体は?』
「もう問題ねぇ」
『そっか』
喉が少しヒリヒリする。掠れた声だけど、一応聞き取れるみたいだ。
「……悪かった」
『え?ああ、うん』
「……お前こそ体大丈夫なのか」
『大丈夫ではない……かな。少なくとも今日は動けない。でも、お風呂入りたい』
「……わかった」
その後、ジンに抱えられてお風呂に連れてかれた。滅多に謝らないジンが謝ったから驚いていたけど、本気で悪いと思っていたみたいでお風呂に入ってから出るまで至れり尽くせりでかえって申し訳なくなった。
その後、ベルモットから連絡が来てオハナシが上手くいったと教えてもらった。これなら前みたいに拉致まがいのことをされる心配もないだろう。
『そうなんだ、ありがとう』
「ところで貴女、バーボンと何かあったの?」
『どうして?』
「なんとなく、雰囲気が変わったわ。波土のライブ会場で会った時は気のせいかと思ったけど」
『……大した事じゃないよ』
「それならいいけど。何かあるなら大事になる前にちゃんとするのよ」
『……うん』