第92章 熱い吐息※
ジンの車でここに来たのだが、この状態で運転させるわけにはいかない。ジンを助手席にどうにか押し込んで私が運転席に座る。
『……アジトまで我慢できる?どこかホテル入った方がいい?』
「……寄り道するな」
『わかった』
そう答えてエンジンをかけた。
運転しながら何度もジンの様子を確認する。目は固く閉じられているし、組まれた腕はこれでもかってくらいに力を入れてるようだ。息遣いがかなり荒い。額には薄らと汗をかいていて、時々街灯で照らされる顔は赤い気がする。
以前、私も薬を打たれた事があるが、あの時みたいに応急処置をした方が……いや、始めたら薬が抜けるか気絶するまで終わらない気がする。
時間帯もあってか最短ルートで予想より早くアジトに戻る事ができた。シートベルトを外してジンの顔を覗き込む。
『ついたよ。歩ける……っ、ん』
手を引かれてそのまま唇が重ねられる。余裕のない、貪るようなキスに身体の奥が疼いてしまう。でも、ここは駐車場。車の中にいるとはいえ、誰に見られるかわからない。ジンがその事に気づいていないわけがないのだが……これは思ってるよりやばいのかもしれない。
強めにジンを叩いて身体をどうにか離す。
『もう少しだから、ね?部屋に行ったら……好きにしていいから』
車をおりてジンの後ろを歩いていく。歩くペースがかなりゆっくりだし若干ふらついてる。
部屋について、私が鍵を開ける。後ろから向けられるジンの気配が強くて足が動かなくなった。狼に見つかった兎はこんな気持ちなのだろうか。ドアを開けて中に入った瞬間、食われる。
腹くくらなきゃ……とドアを開けて深呼吸しようとしたのに、それより早くジンの手に腕を掴まれて、部屋の中に引きずり込まれる。そして、壁に押し付けられて荒々しいキスに口を塞がれる。下腹部に押し付けられた熱を感じ、また身体の奥が疼く。カチャカチャとベルトの外れる音が微かに聞こえた。
『っ、ジン……んぅ……ベッド……』
「……ここまで我慢してやったんだ。もう待たねぇ」
ドレスを捲られて下着をズラされる。入口に数回擦り付けられたソレは一気に奥まで入ってきた。すぐに抽挿が始まって、与えられる快感に耐えるようジンのシャツを握り締める。
肌同士が当たる音が部屋に響く。部屋に入ってすぐの場所だから、もしかしたら外を通った誰かに聞こえるかもしれない。