第91章 タイトルの意味
コナンside―
「安室さん!亜夜さんの新しい連絡先知りませんか?」
ポアロに来て早々に園子が安室さんにそう聞いた。
「繋がらないんですか?」
「そうなんです。1週間くらい前まではメールも送れてたんですけど、昨日送ったら送信先不明で戻ってきちゃって」
「園子にそう聞いて私からも連絡してみたんですけど、番号も変えたみたいで電話もできないんです」
「近々うちでやるパーティに招待しようと思ってるんですけど……何か聞いてませんか?」
「……そういえば、ポアロにも最近来てないわね。何かあったのかしら」
梓さんがそう言うと揃って顔色が暗くなる。それを見てなんとも言えない気持ちになった。
もう会うことはしないと言っていたから、きっと姿を現すことはしないだろう。それでいいと思っていたけど、ここまで蘭達の心に残るならせめて別れの言葉くらい言ってからでもよかったんじゃないか?
「僕の方でも確認してみますね。何かわかればお伝えしますので」
「きっと大丈夫だよ。お仕事忙しくなっちゃったんじゃないかな?」
「そうよね、また連絡来るわよね!」
「無事ならそれでいいんだけど……あ、もうこんな時間。ご飯の準備しないと」
「僕、もうちょっとここにいてもいい?」
「いいけど、あんまり遅くならないようにするのよ」
そう言って店を出ていった蘭と園子の背を見送る。梓さんもシフトが終わる時間だったようで帰っていった。
「……連絡来ると思う?」
「彼女達には悪いけど、たぶんこの先会う事はないだろうね」
「そっか……安室さん達は大丈夫なの?」
「今のところはね。でも、前に比べたら少し動きづらい」
「亜夜さん、何を考えてるのかな」
「わかってたらこんなに苦労しないさ。こちらに引き込めればいいんだけど、そうしたらもっと厄介な事になりそうだからね」
亜夜に何かあればジンが動く。そう言われた事を思い出すと背筋が少し冷たくなった。
「……最近、雰囲気が変わったんだ」
「変わったってどんな感じに?」
「なんというか……つっかえていたものが取れたみたいな」
そう言う安室さんの表情に違和感を覚えた。敵の様子を語るにしてはなんというか……柔らかい?
「ねえ、安室さんってさ……亜夜さんの事」
「……それには気づかないでもらえると助かる」