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【名探偵コナン】黒の天使

第87章 治療と情報


少し離れた所に車を止めて目的地まで歩く。とある廃ビルの扉を開けて地下への階段を降りていく。そして辿り着いたドアの前。決められた方法でノックをするとたくさんの鍵がガチャガチャと音を立てる。ドアの隙間から顔を覗かせた男は最後に会ってから10年ほど時が経っているにも関わらず、容姿がほとんど変わっていなかった。

「……生きていたか、ファースト」

『その名前を呼ばないでください。貴方の情報網かあれば今の私がどこにいるのか知っているでしょう?』

「まあいい、入れ」

部屋に入ると、相変わらずというか……妙な色の液体や見た事のない植物が置いてある。

『……若返りの薬でもできたんですか?』

「さあ。どうだろうな。で、何の用だ」

『擦り傷、切り傷、あとは打撲。たぶん骨は問題ないと思うので……』

「その程度で何故ここに来た」

『……今の組織に知られるのは少しまずいので。最短で治してください』

男……名前は知らないし知る気もないからドクターと呼んでいる。ドクターは呆れたようにため息をつきながらもベッドを指さした。

「全部脱げよ」

『……』

「お前みたいなのに手を出すわけないだろう」

『……モノ好きな所も変わってないようで』

ドクターは男でも女でもいけるが、死体にしか興奮しないという。それも傷跡のない綺麗な体に。

言われた通り全て脱いでベッドに寝転がる。しばらくして傷に塗られる薬。何が入っているのかは聞かない方がいい。

「この銃創は最近のものじゃないな、どうする?」

『……それはそのままで』

「チッ……」

これがあればドクターの餌食になる事はないだろうが……あからさまに残念がるのはやめてほしい。

『っ……』

痛めている方の腕を掴まれて動かされた。ビリッとした痛みが走り息が詰まった。

「多少筋を痛めてるか……まあ、すぐに治るが」

そう言って取り出した2本の注射器。1本にはよくわからない液体が。もう1本は空だ。

「どのくらい取っていい?」

『……200なら』

「少ないな……まあ、残りは金で払え」

薬を痛めた腕に打ち、もう1本は採血の状態にした腕に刺された。この血は治療費の一環らしいが……何に使われてるのか知りたくもない。

「そういや、知っているか」

『……何をです?』

「セカンドの姿をしたロボットだ」
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