第79章 お誘い
《次いつポアロに来ますか?お話したいことがあるんです!》
プライベート用のスマホに園子ちゃんからメールが送られてきたのは昨日。話ってなんだろう……疑問に思いながらも今日なら行ける、と返事を返した。数分後、可愛らしい絵文字で了解の返事が返ってきた。
バーボンがいたらそれとなく場所を移そう……でも、そんな思いは杞憂に終わった。
「あ!亜夜さん!」
『こんにちは。今日は、安室さんいないんですね』
「なんか急用だとかでお休みに……」
『……』
梓さんが肩をすくめながら言った。下手に追求しても何もいいことはないし、いないなら好都合だ。園子ちゃんと待ち合わせてることを伝えてソファ席に案内してもらった。
しばらくして、元気な声と共にやってきた彼女に手を振る。
「すみません、こっちから呼んだのに遅くなっちゃって……」
『ううん、気にしないで。蘭ちゃんも来てくれたんだ』
「はい!私も一緒に行くので……」
一緒に行く?どこへかはこれから話すことでわかるだろう。
『座って?何か飲みながら話そう?』
笑顔で2人に声をかけた。
『それで話って?』
「来週なんですけど、時間ありますか?」
『今のところは大丈夫だけど……』
「じゃあ!ミステリートレインに乗りませんか?」
『ミステリートレイン……?あ、ベルツリー急行?』
「そうです!年に1回しか走らない……いや、今年は来月にもう1回走るんですけど!」
『そうなんだ……でも、いいの?私なんか誘って』
「いいんですいいんです!むしろ来てくれないと!」
園子ちゃんが言うにはベルツリー急行では毎回推理クイズが開催されるらしい。だからミステリートレインね……。
「この間の紙飛行機の事件の時!亜夜さんすごかったし!」
『あれは……大したことないよ』
「それでもいてくれた方が絶対楽しいです!」
『そんなに言ってくれるなら是非』
「やったぁ!じゃあええっと……あれ?」
「どうしたの園子?」
「あー……パスリング持ってくるの忘れた……」
『パスリング?』
「乗車券?みたいな指輪なんですけど……渡すの当日でもいいですか?」
『もちろん。あ、当日のこと聞いておいてもいい?』
「わかりました!」
そこから日時や出発する駅だったりを教えてもらった。思いの外ワクワクしている。