第70章 言われない言葉※
ジンの目は長い前髪に隠れているし、そもそも部屋が暗いから表情がよくわからない。でも、ものすごく機嫌が悪いのは嫌でもわかる。
『……何、どうしたの』
「……」
荒くなった息を整えながらそう聞いたけど、返事はなく代わりにまた唇が重ねられた。
全てを飲み込むようなキスに頭がクラクラしてくる。やっぱりバーボンとは違う……なんて頭の片隅で考えた。
『っ……んっ……』
スカートの裾を捲る手に気づいてそれを止めようと手を伸ばした。でも、引き剥がそうにも力が強くて無理だし、どうにか顔を背けようとすることもできない。
下着にジンの手が当たる。微かに金属音も聞こえた。これから起こるであろうことを想像して思考が急に戻ってくる。
キスでそれなりに感じているとはいえ、まだ大して下は濡れていない。顎を掴んでいた手が今度は左脚を抱えあげる。いよいよ想像が確信に変わった。
『ん、やっ……う、っ……!』
下着を横にずらされて入口にジンのモノが当たる。そして、グッと先端が入り込んできた。
裂かれるような痛みに涙が滲む。ジンの胸板を叩くけど止まる様子はない。せめてゆっくり……という思いも届かず、一気に奥まで突き上げられた。
「っ……チッ」
あまりの衝撃と痛みにジンの唇を強く噛んでしまったようで、口の中に血の味が広がる。更に機嫌を損ねたようなジンの舌打ちが聞こえたが、今はそれどころではない。
『ね、やだ……動かないで……』
「……」
『っ、あ、いたいからっ……や、ねえっ……!』
ナカを押し広げるようにして抽挿が始まる。ただ痛いだけ。胸や秘芽を弄ってくれれば多少はマシになるのかもしれないのに、ナカを突かれるだけ。
でも、それに耐えれば、散々抱かれたことのある身体は少しずつ熱を持っていく。突かれていれば濡れ始めたようで次第に抽挿がスムーズになっていくのがわかった。
無理矢理押し広げられたナカはヒリヒリと痛むけど、快感も強くなっていく。なんて単純で淫乱な身体なんだろう。痛みと快感でわけがわからなくて涙がこぼれた。
『ここ、やだ……ベッドがいい……』
ジンの腕を必死に掴んで震える声で言った。でも、抽挿は止まない。痛みがあるせいで達するまでにはもうしばらくかかりそうだ。
『っ、あ……ねえ、キス、だめ……?』
「……」
また何も言わない。唇も触れてこないし。