第6章 姉妹って素敵ね
『こんにちはー』
「あ!マティーニさん!ちょうどよかった!」
『……その"さん"付けるの辞めてって言ってるでしょ』
「いやいや、そんな恐れ多くて……」
……ジンかベルモットがなんか言ったな。顔を暗くする研究員を見て思う。
『まあ、無理にとは言わないけど……それで何?』
「この爆弾の構造なんですけど……」
と差し出される設計図。ざっと目を通す。うーん、悪くないんだけどな……。
『これ、もう少し小さくできないかな?それと用途次第だけど、こんなに火薬いらないと思う』
「そうですか……確認してみます」
ありがとうございます、と言って戻っていく。
以前、爆弾を仕掛ける任務があったのだが、その時に渡された物が扱いづらかったのだ。それでしばらくの間、爆弾開発に関わっていたらこんな風に意見を聞かれるようになった。
『ねえ、志保って子どこにいる?』
「ああ、第4ラボだと思いますよ」
そう応えてくれた研究員にありがと、と言ってそこへ向かう。
コンコン
「はい」
『入ってもいいかな』
「……どうぞ」
ドアを開けると、監視役の女だろうか、とても驚いたような顔をする。
「な、なんでここへ……」
『この子と話したくて。だから、悪いけどしばらく席外してくれない?』
「……わかりました」
と言って出ていく。あんなに怖がられるとちょっとなあ……。
「貴女、この間の……」
『あ、覚えててくれた?』
志保はコクリと頷く。
『でも、あの時から全然会えなかったから……しかも、あと何日かしたらまたアメリカ行っちゃうんでしょ?だから、ちょっとでも仲良くなりたいなーって思って』
「そう……」
そこ座ってと椅子を指さす。非常にクール。本当に10歳なのってくらい。
「貴女のことなんて呼べばいいの?」
『そうか、自己紹介まだだね。わたしの名前は黒羽亜夜。コードネームはマティーニ。どっちでも好きに呼んでくれて構わないから』
「そう、じゃあ名前で呼ばせて。私のことは志保でいいから」
『わかった。よろしくね、志保』
そこからしばらくの間、いろんな話をした。最初は表情が硬かった志保だけど、次第に打ち解けてくれたようだった。
『……これ、見てもいい?』
先程から気になってた机の上に置かれる資料を指さす。