第59章 XXX ※
『っ、ああっ……!』
前戯だけで何度イかされたか……いつものことではあるのだけど。いつもより触り方とかキスとか、なんとなく優しい気がした。でも、相変わらずジンのモノには触らせてくれないし。それでも、ぼーっとした意識の中ゴムの袋を破る音が聞こえたから、勃ってはいるんだろう。
脚を抱えられ、グッと開かされる。入口にジンのモノが当たり、ゆっくりとナカへ入ってきた。
『うっ……あ、ん……っ』
ナカが満たされていくのを感じながら、ジンの顔に手を伸ばす。
『キスしよ……』
「……」
ジンは無言のまま私の開いた唇に舌を差し込んでくる。私の舌はすぐに絡め取られて深く唇が重なった。
『んっ……!』
遅いペースで、それでも確実に気持ちいいところを突いてくる。喘ぐ声はジンとのキスに飲み込まれて、くぐもった声しか出ない。それだけじゃなくて、呼吸もだんだんしにくくなってきた。
それを訴えるように、ジンの胸板をパシパシと叩く。すると、ジンの目が少しだけ細められて、舌を吸い上げながらやっと唇が離れていった。
「……しろって言ったのはてめぇだろ」
『そうだけど……っああ!』
抽挿のスピードが徐々に速くなっていく。ジンの首に腕を回してすぐそこまできている絶頂を……その時、ジンが自らの唇を舌先で舐めた。
その様子が先程のバーボンと重なって、絶頂の波が少しだけ引いてしまう。それにジンも気づいたようだった。
「……考え事か?」
『ちがっ……』
「珍しいこともあるもんだと思って、多少は優しくしてやるつもりだったんだが……てめぇにその必要はなかったな」
『っ、ひ……あああっ……!』
ガツンガツンと思いっきり腰を打ち付けられて、遠のいた絶頂はすぐにおとずれた。イった身体はビクビクと震えるが、抽挿は激しくなる一方で。
頭は思考を放棄しかけているのに、なぜかバーボンの姿が何度もチラつく。
『ジン、っ……好き、だよ』
その影を消そうと必死に絞り出した言葉を、ジンは受け取ったのか否か……ただ、もうこれ以上言うなとばかりにまた唇が塞がれる。
体位を何度も変えて何度もイかされて、ジンの欲がゴム越しに吐き出されるのを何度も感じたのに……ぐったりと力の入らなくなった身体にあるのは性欲が発散された満足感だけ。
これじゃあ、バーボンが言ってた通りになっちゃう……。
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