第47章 価値
「亜夜さん……?」
『……ん?どうしたの?』
「あ、その……なんか怖い顔してたから……」
少し気を抜いていた。こっちの顔しか知らない人の前で変なことできないし。
それに、今更知ったところで何が変わるってわけでもない。
『えっと……この後人に会うのよ。だから、いつ帰れるかなぁって』
「そうなんですね。よかった、会いたくなかったのかと……」
『そんなわけないじゃない。まあ、もっと素敵な場所での再会が良かったのは事実だけど……』
「あはは、そうですねぇ……」
『……もしかしてこういうの慣れてたりするの?』
蘭ちゃんの言い方が引っかかって聞いてみる。そう思ってる部分もあるだろうけど、なんとなく諦めてるような感じもした。
「父が探偵やってて……元々警察官だったから刑事さんに知り合いもいて、そのせいか事件に関わること多いんです。特に最近は……毛利小五郎って聞いたことありますか?」
確かに最近ニュースや新聞でよく見る。眠ったような状態で事件を解決していく名探偵。
『もちろん……眠りの小五郎って蘭ちゃんのお父さんなのね。今日も一緒?』
「あ、はい……あそこに。昨日飲みすぎてあんな状態ですけど」
蘭ちゃんが顔を向けた先には青い顔をして座り込んでいる毛利小五郎……顔色悪いなぁ。
すると、警察官が帰ってもいいと言い出した。まずいな……ジンになんて言おう。取引相手を尋問するのは面倒だしなぁ……。
「ちょっと父のところ行ってきますね」
『あ、うん』
蘭ちゃんが離れていく。あれ、そういえばコナン君は?
辺りを見回していたら見つけた。何をするかと思えば蘭ちゃんのお尻に手を伸ばして……
「何すんのよチカン!!」
勘違いした蘭ちゃんのすごい勢いの回し蹴りはコナン君ではなく……彼女の父の顔面へ。
『ちょっと、蘭ちゃん……!』
「お、お父さん!?ちょ、ちょっとしっかりしてよ!」
顔の骨折れてるんじゃ……後ろの壁にヒビ入ってるし。
「大丈夫だ、蘭……おかげでひらめいた!」
「ひ、ひらめいた?」
『これって……』
これが眠りの小五郎?まあ、真相がわかるならそれでいい。だから、大人しく聞くことにした。
そして、あの爆弾はテキーラの取引相手ではなく、同じ会社の同僚が仕掛けたものだと発覚。
しかし、彼の話はここで終わらなかった。