第44章 違うからこそ※
さっきまでとはまた違って、甘すぎるってくらい甘やかされた気がする。動きもスローペース。でも、ちゃんと的確に気持ちいいところを刺激してくる。
『っ、あ、イきそ……』
そう言えば少しだけ抽挿のスピードが上がって、一気に快感が突き抜けた。するとまた、ペースを落としてナカをゆるゆると擦られる。
「……まだ大丈夫ですか?」
『ん……』
腕を持ち上げて、バーボンの首に回す。そうすればまた唇が重なる。何度も角度を変えて、舌を絡め合う。
「……好きですよ、亜夜」
『うん……』
「名前、呼んでくれませんか」
『……透』
「やっぱり最高ですね……」
『あっ、あ、まって……』
「すみません、これで最後ですから……っ!」
お互いに限界が近い……そして同時に達した。
荒い息だけが部屋に聞こえる。全身の力が抜けて腕が落ちる。バーボンも私の横に寝転んだ。
「……本当に好きです」
『うん……』
寝転んだまま向き合う。ふわっと笑ったバーボンに対してまた罪悪感が沸く。
「そんな顔させたかったわけじゃないんですけど」
『……私、どんな顔してるの』
「すごく申し訳なさそうな顔です」
『だって……』
目を伏せがちにそう言うと、額に唇が当たる感覚。私の髪を漉きながらまたふわっと笑う。
「貴女の気持ちが向くことはないのかもしれません」
『……』
「それでもいいんです。だから、僕の気が済むまで好きでいさせてくれませんか」
『……辛くないの』
「否定はしませんけど、諦めは悪いので」
今の顔を見られるのがなんとなく嫌で、バーボンの胸に額を押し付けた。すると、頭をそっと撫でられる。
「寝ましょうか」
『ん……』
「……いつ帰りますか」
『明日、かな』
「そうですか。なら、今日はゆっくりしましょうか」
もうとっくに日付は変わっている。変な感じはするけど、この家に来た時間と今は日が違うから。
『……おやすみ』
「おやすみなさい」
一瞬、シャワーを……なんて考えたけど今更起きる気はなくて、事後の裸のまま布団をかける。
いろんなことがあったおかけで、温もりに包まれればすぐに眠気がやってきて目を閉じた。
私が寝入ってすぐ、バーボンが諸々の片付けを済ませて身体まで拭いてくれたことを知るのは、昼近い時間に目が覚めた時だった。