第4章 下手くそ……※
「おら、さっさと言え」
『……言ったら行かなくていい?』
「そんだけまずい理由ならな」
『……』
顎を掴まれて顔は動かせないので、目線だけどうにか逸らす。
「なんだ、無理矢理口を割らせろって意味か……?」
そう言って顎を掴んでいた手が離れていく。かと思えば腰を撫でられて思わずビクッと身体が反応した。
『そっ、そんなわけないでしょ!』
ジンはくつくつと喉を鳴らして笑う。あーもう、どうしよう。
「それなら言え」
『……笑わない?』
「内容次第だな」
『……こと、ないの……』
「あ?もっとはっきり話せ」
『そういうこと!したことないの!』
勢いあまって言ってしまった……恥ずかしくて死にそう、もう嫌。
ジンの顔が見れなくて俯いてるとフッと鼻で笑われた。そっと顔を上げると目が合う。
「……やっぱりまだまだガキだな」
ジンは時々こうやって子供扱いしてくる。確かに歳の差あるけど……。ちょっとカチンときて、思わず言い返す。
『そんなこと言ったってしょうがないでしょ!』
と、その時顎に指を添えられて、そのままジンの顔が近づいてくる。思考が追いつかないまま、唇が触れた。
……私、ジンにキスされてる。
身体が動かない。思考も止まったまま。今自分に起きてることが理解できない。
どれくらい時間が経っただろう。そっと唇が離れていく。
「……なんだその間抜けな顔は」
その声にやっと思考が動き始める。
『な、な、何をっ……』
「キスくらいで騒いでんじゃねえよ」
『キスくらいって……っ』
恥ずかしい……消えてなくなりたいくらい。
『もうやだ……帰る』
両手でジンの身体を押しのけようとしたけど、どいてくれる気配ないし、力は入らないし、自分が自分じゃないみたいで……。
「……帰すわけねえだろ」
ジンはそう言ってまた唇を重ねてきた。苦しいのに息の仕方わからない……。ジンの胸を叩くと唇が離される。
「フッ……下手くそ」
鼻で息しろ、そう言ってまた……。
早く終われ……目をつぶってそう考えてると、一瞬離れてすぐ、ぬるっとした感触。舌で唇を舐められた。
「おい……口開け」
わからないことだらけで、言われるがままうっすらと口を開ける。
瞬間、口の中にジンの舌が入り込んだ。