第31章 利用※

『ああっ、やっ……だめ……』

もう何も考えられないくらい、思考がドロドロと溶けていく。またイキそうになる身体を抑えることなんてできないのに。

「駄目？なら辞めましょうか？」

その言葉に頭を小さく横に振る。こんなところで辞められるなんてたまったもんじゃない。

「それなら、ちゃんとねだってくださいね」

『うっ、んあっ……なんでぇ……』

あと少しでイけたのに……指の動きが緩くなって、触るところもズラされた。そこじゃ、気持ちよくてもイけない。

『それ、やだっ……』

「嫌なら辞めますよ」

『ちがぅっ……！』

「じゃあ、なんて言うべきかわかりますよね？」

『っ……！』

「ほら、どうして欲しいですか？」

イキたい。そう言えばイかせてもらえるだろうに……どうしてジンの顔がチラつくのか。だから、たった一言でさえ言うのを躊躇ってしまう。

「……僕のこと、好きになってくれるんですよね？」

耳元で囁かれて、意識の中からジンの影が薄れていく。私ってなんて薄情な女なんだろう。でも、それでいい……んだよね。躊躇う必要なんて、もうない。

『……イキ、たい』

「もっと上手くねだれるでしょう？」

『イかせてください……！！』

「本当に可愛い人ですね」

耳の縁にキスをされた。そして、欲しかった所に刺激が与えられる。

『あああっ……』

「イクときは言ってくださいね」

『やぁっ……まって……！』

「待ちません」

『うっ、ああっ……イクっ……！』

ナカが収縮して腰が跳ねた。ナカから指が抜かれて、愛液が溢れる感じがする。心地よい脱力感に包まれた。

「……大丈夫ですか？」

『うん……』

「それじゃ……体を拭いて着替えましょうか」

『え……？』

「どうして驚くんですか？着替えの途中だったでしょう」

『だって……貴方は……？』

「……気にしなくても問題ありません」

『でも、私だけなんて……』

さっき腰に当たっていたものが、バーボンのソレだということくらいわかる。最後までするものだとばかり思っていたから、拍子抜けしてしまう。

するとバーボンはため息をついて言った。

「一応、貴女は病人なんです。そんな状態で最後までする気はありません」

『だって……』

「お願いです。僕の我慢が利くうちに」

バーボンは着替えとタオルを用意して部屋を出ていった。