第28章 女子会
亜夜side―
「亜夜、あのね……」
『うん、どうしたの?』
部屋を出ていく前より元気のなくなった2人。何があったのか……そう思って明美の言葉を待った。
「私達、貴女に何ができるかな」
『何がって……どういうこと?』
「私達、亜夜に貰ってばかりだから……それを別の形で返したいって……」
『そんなことないよ。私は2人が喜んでくれるのが嬉しいの。見返りなんて求めてないよ』
「でも……」
『2人の姉妹になれたこと、それだけで十分幸せ。私の方が貰いすぎてるわ』
そう言っても顔が晴れない2人をまとめて抱きしめる。
『もし、何か返したいって言ってくれるなら……ずっと笑っててほしい。ずっと元気で、幸せでいてほしい』
「亜夜……」
『2人のことは何があっても絶対に守る。だから……』
2人から一度、体を離した。目を合わせて、ゆっくり息を吸い込んだ。
『これは私のわがままかもしれないけど……ずっと傍にいてほしい。目の届く所にいてくれれば、助けに行けるから』
「亜夜……」
『大丈夫。絶対、私が守るから……』
2人は何があっても傷つけさせないし、殺させない。組織が2人に何かしようとするなら……何が何でも阻止する。それでも辞めないなら……私は組織を裏切ってでも2人を逃がす。組織の手の届かない所まで。たとえ、自分が死ぬとしても。
『そろそろ寝よっか。疲れたよね……ベット好きな所使ってね』
「亜夜、一緒に寝ようよ」
『え……でも』
「ね、お願い。志保も」
「私もそれがいい」
『ふふっ……じゃあ、そうしよっか』
寝る準備を整えて、3人で同じベッドに入る。真ん中はなぜか私。2人の温もりを感じて嬉しくなる。
「……亜夜」
『ん?』
「貴女もずっと元気で、幸せでいてね」
『もちろん。今もすごい幸せだよ』
「亜夜姉、ありがと。2人と過ごせて本当に嬉しい」
『私も』
こんな幸せがずっと続くと、そう信じてた。そうだと信じて疑わなかった。私なら、2人を守れるとそう思ってた。
その考えがどれほど甘くて愚かだったのか……あんな未来が待ち受けているなんて、この時は思いもしなかった。
……私のような人間が、普通の幸せを望むこと自体間違っていたのかもしれない。