第3章 コードネームと小さな天才
組織へ来て2年が経った。
任務の同行も問題なくできるようになったし、取引相手次第では任せてもらえることもあった。
キャンティとコルン、カルバドスはライフルを含め、銃の扱いを教えてくれた。
「いいねえ亜夜、センスあるじゃないか」
キャンティはいつも褒めてくれる。そして、前よりスキンシップが増えた。別れるときは、いつも頬にキスして去っていく。最初の頃は止めてたけど、キリがないのでこっちが折れた。
アイリッシュはあの時の言葉通り、時間を作っては相手をしてくれた。
「前より良くなったな……だけど相変わらずちいせえなぁ」
そう言いながら頭をポンッと叩いてくる。ちょっとイラッとするけど、素で接してくれる感じが好きだったりする。
体術に関しては、キュラソーも時々相手してくれる。あの時言ってくれたらよかったのに……と言うと、
「アイリッシュの相手は嫌だから」
と言われた。まあ、確かに性格は合わなそうだなあ……。
ベルモットの変装術には驚いた。最初、私の顔をして部屋を訪ねてきた。しかも、声まで同じ。ドッペルゲンガーかと思って変な声が出た。
「ふふっ……そんなに驚かないで」
そう言って変装を解いたベルモットは、面白くて仕方ないといった顔で笑いを噛み殺してた。
ピスコに会うことはほとんどなかった。ベルモットに聞いたら、あの方の側仕えをしてるらしい。それなら会えなくて当然といえばそうなのだけど。
テキーラもそう。全然会わない。任務について行ったのも1回だけ。その時、彼が関西弁を話すことを知った。
なんだかんだ、1番任務について行くのが多いのは、ジンとウォッカの時。ジンは、はじめこそ冷たかったけど、いろいろ世話焼いてくれる。愛銃が同じこともあってか、その辺の話は結構弾んだ。それと、ウォッカが意外にも家庭的。料理もできるし、掃除もする。人は見かけによらないってこういうことかあ……って思った。
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ハッキングで情報を盗む任務が終わり、データを預けるためベルモットの部屋に向かっていると、キュラソーに会った。
「元気そうね亜夜」
『キュラソー、戻ってたんだ』
「ええ。さっきね。ちょうど良かったわ、会いに行こうと思ってたの」
『そうなの?何かあった?』