第27章 プレゼント
『だから、明日の夜まで帰らないよ。任務もないし……』
「チッ……」
『ごめん。でも、久しぶりに会えるから。許可は貰ってるから』
あからさまに不機嫌になったジン。私が謝る必要あるのか……?なんておもったのは秘密。と言うか、ほぼ毎日抱いて本当に飽きないのかな……不思議。
『きっと彼女の研究が始まれば、会えることも減るだろうし……』
「……なら、明日の夜は絶対に帰ってこい」
『うーん、努力はする』
「帰ってこねえと辛い思いすんのてめぇだからな」
ニヤッと笑ったジン。これは……日を増す事にとんでもないことをされそう。よっぽどの事がない限り帰ってこないと……。
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「その顔で行くのか?」
『うん。だってあっちの顔でシェリー似合ったことないもん。大丈夫だよ、サングラスしてくし』
時間に余裕はあるけど、泊まる予定のホテルに寄りたいので早めの準備。今日は変装しない。護衛がいるはずだし、プライベート用の顔はあまり知られたくないので素顔で行くことにする。
「そういう問題じゃねえよ」
『じゃあ何?』
服を着替えながら聞く。悩んだ結果パンツスタイルにした。ドレッサーの前に座って軽くメイクを施す。髪は……結ぶ?おろす?
『……結んだ方がいいかな』
髪を高めの位置に取ってまとめていく。にしてもだいぶ伸びたな……近いうちに切りたいかも。
「髪、伸びたな」
『そうだよね。切ろうかな……』
「駄目だ」
『え?』
「このままでいい」
『……そう?じゃあそのままで』
なんて話してたら手元に髪を結ぶ用のゴムがない。あれ、どこ置いたっけ……。
片手で髪の束を掴んだまま辺りを探す。ない……
『ねえ、髪しばるゴムどっかに落ちてない?』
「……必要ねえだろ」
『なんでよ。ないと結べないじゃない』
髪を掴んでる手にジンの手が重なった。そして……首にチュッと吸い付かれる。キスマーク……。
「……おろしてけ」
まとめ上げた髪がパサパサと落ちていく。
「んだよ」
ジンを軽く睨みながら、その襟元を引っ張った。そして触れるだけのキスをする。ポカンとしたジンの顔に笑いそうになるのを堪える。
『じゃあ、また明日ね』
用意してあった荷物を掴んで部屋をでた。
ジンの「覚えてろ……」という呟きは聞かなかったことにして。