第27章 プレゼント
数日後……
「おい、これどうすんだよ」
『私に言われても困るんだけど……』
「あ?てめぇの部屋だろ?」
『堂々と居座ってるの誰よ』
口論の原因は、早朝から私の部屋に運び込まれた大量の紙袋と箱。部屋の一角に山積みになったそれらの送り主は……
「あの女、何考えてやがる……限度って言葉知らねえのか」
『ベルモットもジンには言われたくないと思う』
にしても……描かれているロゴは高級ブランドのものばかりで、ただでさえ結構な値段がするだろうに……この量の荷物を送るのにも相当……どんなお礼をすれば割に合うだろうか。
中身を見てみれば普段着はもちろん、ドレスや靴、アクセサリーに香水……メイク道具もある。
ありがたいけど多すぎる。ベルモットが買ってくれる物はセンスがいいから好きなんだけど……しまう場所にも困る。クローゼットに余裕はないし、ドレッサーの引き出しの中もパンパン。
まあ、それは後で考えよう。ベルモットに連絡いれてから。あっちは今……夕方くらいだよね。
電話をかければ数コールの後彼女の声が聞こえた。
「Hi」
『もしもし、今大丈夫?』
「あら、マティーニ。貴女からってことは届いたかしら?」
『うん。こんなにたくさんありがとう』
「わざわざ連絡くれるなんて律儀ね。気にしなくていいのに」
『そんな訳にはいかないよ!』
「私が好きでやってることだから」
『でも、嬉しいよ……あ』
そういえば……ベルモット、いやクリス・ヴィンヤードの母のシャロン・ヴィンヤードが亡くなったって……そんなニュースをちょっと前に見た。内容が内容だから連絡してなかったんだけど。声を聞く限り悲しそうな感じはないし、無理してるのかな。
『ベルモット……あの、貴女のお母さんのこと……』
「……ああ、仕方のない事よ」
『でも……』
「もう10年くらい会ってなかったし……これが彼女の運命よ」
なんとなく、ベルモットの声は悲しさより喜びを感じさせた。
『……そっちで何かあった?』
「あら、どうして?」
『なんとなく……嬉しそうな声してるから』
「ふふっ……貴女にはわかるのね」
『わかるよ。ずっと一緒にいたんだから……何があったか聞いてもいい?』
「……神様なんて信じてなかったけど、私にもそういう存在が……天使がいたみたい」
『……天使?』