第25章 本音か嘘か※
『白……なんて私に1番似合わない色ね』
チェーンの色がシルバーなのは救いだな。ゴールドはそもそも私の肌には合わないし、何より白とゴールドなんていかにもバーボンを表しているようだし。
身につけることはない気がするけど、捨てる気にもなれなくてアクセサリーケースの中にしまった。それから着ていたドレスも脱いだ。クリーニングに出して……もう着ることはないかな。昨夜のことがフラッシュバックするから。
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今夜の任務の為に準備をしているとジンが来た。ご機嫌はよろしくない。来るなりソファーに座り込んでタバコに火をつける。その行動はいつものことだけど、雰囲気が恐ろしい。
『えっと……』
なんて言うべきなんだろう。ただいま?ごめんなさい?
「……おい」
悩んでいると声がかけられて顔を向けた。ジンは自分の横を顎で示す……座れってことだよね。
ジンの隣まで行ってソファーに浅く腰掛ける。ちらっと横目で見るとタバコを咥える姿。かっこいいなぁ……。
ぼーっとしてると目が合ってあわてて逸らした。だけど、頭の後ろに手が回って顔が向き合う。ジンはタバコを口から離したかと思うとそのままキスをしてきた。そして、あろうことか口の中に煙が吐き出される。
『んんっ……ゲホッ……』
苦しくて胸を力いっぱい押しのけた。喉の奥に煙が絡みつくようですごくむせる。
『ゲホッ……はぁ、何……?』
「……バーボンとはずいぶん楽しんだようだな」
『楽しんだ……訳じゃないんだけど』
「電話にも気づかねえくらい夢中だったろ」
『それは……ちょっと薬使ったから……』
「あ?」
『あっちもいろいろ仕込んでたみたいで……やられっぱなしも癪だし、いつものやつ、ちょっとだけ……』
「耐性つけてるだろ」
『それは飲む薬だけ……今回は匂いのやつ使われたから』
以前、取引現場で薬を盛られた一件で少しずつ媚薬に耐性を着けるようにしてる。ジンとする時に飲んで、その量を増やしたり種類を変えたり。でも、耐性をつけてるのは飲む媚薬に限る。塗ったりか香りで効果が出るものは耐性が付けにくいし、そもそもあまり使われるものじゃない。
『どこのやつか知らないけど結構効いたから』
「チッ……」
『ん、え?ちょっと……』
「1回くらいできるだろ」
『待って、この後任務……!』