第23章 デート……?
『……首はやめてって言ったじゃん』
「デートじゃねえならいいだろ」
『そうだけど……』
あの日から3日後。今日はバーボンと出かける日。昨日、一昨日とかなり激しい抱かれ方をして身体がだるい。でも、約束した以上行かないと、と思い身支度を始めたのだけど。
『髪下ろしてればいいかな……』
昨日、首にキスマークはつけないで、と何度も念押ししたのに……意識を飛ばしてしまい、その間につけられてしまった。しかも、かなり濃い。ハイネックの服を着る時期ではないし、髪も結びたいけどそれを隠すためには下ろさないと。
『……よし。これでいいかな』
一応プライベートなので変装した姿が鏡にうつる。茶色の髪にふんわりとしたワンピース……と伊達メガネ。
『どう?』
ジンの前でくるっと一回転する。だけど、こっち見てくれてない。
『ねえ、見てよ』
「……いつもの方がいい」
『う……』
顔がブワッと熱くなって、ジンに背を向けて顔をパタパタとあおぐ。
「それも悪くねえけどな」
『……そっか、ありがと』
返事がぎこちなくなる。
『あ、そうだ』
香水どれにしよう……種類は増えてくけど、1番気に入ってるのはベルモットがくれたやつ。それを手に取って自分に吹きかけた。
『ジン、今日任務あるんでしょ?』
「ああ」
『気をつけてね……本当に困ったら連絡して』
その時響いたノックの音。入ってきたのはウォッカで。
「……兄貴、そろそろ」
「ああ」
『もう行くの?』
「……ちょっと野暮用があってな」
『そうなんだ……あ、ねえウォッカ、これ似合ってる?』
「へっ……ええ、お似合いです……」
『ふふっ……よかった』
「チッ……ウォッカ、てめぇ……」
「あ、兄貴……今のは不可抗力……」
「……行くぞ」
一瞬にして不機嫌になったジンと青ざめたウォッカ。振り返りもせず出ていってしまう背に手を振って、支度の続きに取り掛かった。
待ち合わせ場所に行くと既に来ているバーボン。目が合った……けどすぐに逸らされる。なんで?
『あ……』
この姿で会うの初めてじゃないか?連絡した訳でもないし、この距離なら他人だと思うだろう。
『ふふっ……』
ちょっとからかってみよう。まっすぐバーボンの方に歩み寄って普段と違う声で話しかけた。
『あの……』
「はい、なんでしょう?」