第16章 再度4人……
あの日からジンと一緒にいれる時間ができた。以前と同じで任務をして、身体を重ねて……っていうだけ。でも、それでいい。恋人なんて望まない。近くにいれるだけでどうしようもなく嬉しいのだから。
「亜夜、彼氏でもできたの?」
『そんな人いないよ』
1ヶ月ぶりに会った明美に言われる。
「嘘だあ……だって前と雰囲気が違うもん」
『そうかな……』
「そうだよ!で、どんな人なの!?」
どんな人……思い浮かぶ姿は、冷酷で横暴で意地悪で……なんか悪いとこしかなくない?
『……彼氏ではないから』
「でも、好きなんでしょ?」
『……まあ』
「ほらやっぱり!」
亜夜にもそんな人がいるんだね〜なんて嬉しそうに笑う明美。その表情に私も微笑んだ。
「付き合わないの?」
『うん。そばにいられれば十分だから』
いつ死んでしまうかわからないから……なんてそんなこと言えない。組織の一員であるライと付き合ってる明美にそんなこと言えば、不安にさせてしまうことくらいわかる。
「 ……亜夜がいいならいいけど。こんな美人を放っておくなんて!」
『あはは……そういう明美はどうなの?』
「え……っと」
明美の顔から急に笑顔が消える。
『何かされたの?』
「あ、いや……忙しいらしくて最近会ってないんだよね」
『……どのくらい?』
「最後に会ったのが……この間志保が帰ってきてすぐの時……」
『嘘……ひと月以上会ってないの?』
「ま、まあ、忙しいなら仕方ないし……」
『でも、電話くらい……』
と言うと静かに首を振った。
『あの男……』
大事にしたいとか言っておいて何をしてるんだか……。
「いいの。無理させたくないし……」
『そうやって自分の気持ち押さえてると後々辛いよ』
私がそうだったからわかる。抑えきれなくなって全て伝えてしまったけど、結果的にそばに戻れたからよかったけど。
『何かされたらちゃんと言うのよ』
「うん。その時はお願い」
そう言って明美は悲しそうに笑った。その顔に違和感を覚える。
『……前も同じ顔したよね』
「え?」
『もう何かされてたりする?』
「……ううん。なにもないよ」
『そう……貴女も無理しちゃ駄目よ』
「うん」
そこからの話題は楽しかったけど、モヤモヤした気持ちは消えなかった。