第15章 弁解と命令※
しばらくの沈黙を破ったのはジンだった。
「それが叶う世界じゃねえってわかってるよな」
小さく頷いた。残酷だけどそれが事実。そんなのわかってるのに気持ちは大きくなるばかりで。
「……そばにいるなら、一つ言っとくが」
『えっ……いいの?』
「んだよ、てめぇが言ったろ」
絶対駄目って言うと思ったのに……驚いたけど嬉しさが込み上げてくる。
手を掴まれてベッドに押し付けられた。今の私、きっと酷い顔してる。そんなの見られたくなくて顔を背けるけど……
「こっち向け」
言葉と同時に降ってきたキスにそれを阻まれた。いつもとは違う、深いけど優しいキス。
『っ……』
口が離れると首に手がかけられて身を硬くした。
「……一度しか言わねえぞ」
手に少し力が入れられて、怖さで頷くことしかできない。
「お前の命は俺のものだ。勝手に死ぬことは許さねえ……お前を殺していいのは俺だけだ」
なんて自分勝手な……それなのに嬉しくてたまらない。
『うん……約束する』
「約束じゃねえよ、命令だ」
ジンはそう言ってニヤッと笑った。
「じゃあ……こっちも終わらせねえとなっ」
『えっ、ひっ……ああっ……!』
再び抽挿が始まる。強い刺激に先程までの快楽は簡単に戻ってきた。
耳や首を舐める下も触れる手つきも……なんかいつもと違う。優しい……?
「てめぇのせいでどれだけ我慢したと……」
『私はっ……悪くな……んあっ……あっ!』
あっという間に限界を迎え身体が跳ねた。それでもジンの動きは止まらない。
『はっ……あああっ……!』
「……締めすぎだ」
『待っ……もうむりっ……』
「馬鹿か……終わるわけねえだろっ……」
続けざまにイカされてもう意識が霞み始める。
『っ……好きっ……』
半ば無意識に出た言葉。それを塞ぐように深いキスをされて……
「てめぇだけが苦しんでたと思うなよ……」
『え……それって……ひあっ……!』
その言葉を都合よく捉えてしまう。もしかしたら……同じ気持ちでいてくれてるのかも……なんて。
抽挿が止むことはなくイクたびに意識が薄れていく。
「……好きなんかじゃ足りねえよ」
そんな声が聞こえた気がしたけど、落ちていく意識を呼び戻すことはできず……そのまま目を閉じた。