第13章 帰宅と再開と……
「起きろ……朝だぞ」
『ん……』
ぼんやりと目を開ける。スコッチの顔が見えた。
『おはよ……』
「ああ。よく寝れたみたいだな」
目を擦りながら体を起こす。テレビの音に意識がはっきりしてくる。
『……キール』
テレビに出始めてすぐ人気アナウンサーと話題になった。今となっては見ない日はないくらい。
『ライとバーボンは?』
「ちょっと出てる。オレも行ってくるけど……」
『いいよ。着替えたいし』
スコッチが出ていったのを確認して着替え始める。下着を服の間に挟んでくれてある。あとでバーボンにお礼言っとかないと。
下着をつけたところで鏡にうつる自分を見る。あの時弾は貫通したらしく、傷跡はお腹と背中両面にある。それを指でなぞりため息をつく。ジンが傷つかなかった証なのに、それを思うと心臓がギュッと締め付けられる。
『……会いたいな』
「そんな格好で何してる」
急に聞こえたライの声。戻ってきたことに気づかなかった。
「さっさと服を……」
ライは言いかけたところで目を見開いた。その視線は傷跡に向けられ、咄嗟に隠した。
『……忘れて』
それだけ言って残りの服を着た。
「何かあったんですか?」
しばらくして2人が戻ってきた。部屋に漂う雰囲気にバーボンは首を傾げる。
『下着姿見られただけよ』
「着替えに時間をかける方が悪いだろう」
「だからって……気づいたら見ないようにするとか……」
「デリカシーの欠片もないんですね」
『……あまり気にしてないからいいんだけど』
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ホテルを出て駅へ向かう。電車に乗るのが憂鬱だ。
そこで電話がかかってきた。
『もしもし』
「亜夜姉?私」
『あれ、どうしたの?』
志保からの電話だった。ずっと亜夜さんと呼ばれてたんだけど、他人行儀なのが嫌だと言ったら、最近亜夜姉と呼んでくれるようになった。
でも、この3人といるから私の方は名前が呼びづらい。
「今日ラボに来れない?明日帰っちゃうから」
『あ、そうだよね!会いに行こうと思ってたんだけど、急な任務で……』
「うん。聞いてるわ。何時くらいに来れる?」
『夕方には戻れるよ』
「わかった。待ってるわ」
『あとでね』
きっと顔がニヤけてる。会うのは久々だからすごく楽しみ。